読みもの
「これ詐欺?」と思ったメール・SMSの見分け方と、リンクを押す前に確かめる手順
先に結論
- 確かめる相手は、届いた文面の中ではなく、自分が知っている入口(公式アプリ・ブックマーク・カードの裏の番号)。
- かたられる名前はかたよる。2026年8月の報告ではEC系が約43.3%、クレジット・信販系が約29.0%(フィッシング対策協議会)。
- あやしい特徴が見つからないことは、安全の証明ではない。文面は毎日書き換えられる。
宅配の不在通知、カードの利用確認、未納の督促、身に覚えのない当選。スマートフォンに届いた短い文面を前にして、押していいのか分からないまま数十秒が過ぎる——という時間は、誰にでもあります。やっかいなのは、同じ種類の連絡が本物でも届くことです。だから「全部無視する」は答えになりません。ここでは、本物か偽物かを文面から当てにいくのではなく、文面を使わずに確かめるという考えかたと、いま実際に何がどれくらい届いているのかを整理します。
1最初にやることは1つ。文面の中の連絡先を、一切使わない
偽のメッセージを見抜こうとすると、つい文面そのものを読み込んでしまいます。日本語が不自然か、署名があるか、宛名が「お客様」になっていないか。ただ、その見かたは年々効かなくなっています。文面は作り直せるからです。
効きかたが落ちない方法は1つしかありません。確かめる経路を、届いた文面の外に置くことです。
- リンクを押さない。押さずに、その会社の公式アプリを自分で開く
- 文面に書かれた電話番号にかけない。カードの裏・請求書・契約書・お店のレシートに印字された番号にかける
- そのメッセージに返信して「本物ですか」と聞かない。返信先も相手が用意したもの
- 検索してトップに出たものをそのまま信じない。広告枠に偽のサイトが出ることがある。ふだん使っているブックマークやアプリから入る
- 1人で決めない。家族や職場の人に文面をそのまま見せる。声に出して読むだけで気づくことがある
この道具がやっているのも、判定ではなくこの整理です。文面のどこが手口によく使われる形なのかを示し、そのうえで、文面を使わない確かめかたを並べます。
2いま、どの名前がかたられているか(2026年8月の報告)
フィッシング対策協議会が2026年9月18日に公表した2026年8月の月次報告では、同会に寄せられたフィッシングの報告件数は82,338件で、前月より16,219件増えています。確認されたフィッシングサイトのURLは39,800件、悪用されたブランドは96件でした。
注目したいのは、96ブランドに均等に散っているわけではないことです。
| 分野 | 報告全体に占める割合 |
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| EC(通販)系 | 約43.3% |
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| クレジットカード・信販系 | 約29.0% |
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| 航空系 | 約13.3% |
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| 官公庁系 | 約5.2% |
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| 金融(銀行)系 | 約2.4% |
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出典:フィッシング対策協議会「2026/08 フィッシング報告状況」(2026年9月18日公表)。ブランド別ではAmazonが約26.1%、Appleが約16.1%、ANAが約12.5%で、上位5ブランドで約69.9%を占めています。
つまり、身に覚えのある通販やカードの名前で届くのが多数派です。「知らない会社からのメールだけ気をつける」では届かない範囲に、大半が入っています。
3文面のどこを見るか。よく使われる5つの形
この道具は、文面を次の5つの見かたに分けて、当てはまる部分を原文からそのまま引用します。言い換えずに引用するのは、元の文面と1文字ずつ見比べられるようにするためです。
| 見かた | 文面での現れかた | どう扱うか |
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| 急がせている | 「本日中」「24時間以内」「このままでは停止」 | 期限は、確かめる時間を削るために置かれることがある。急ぐほど、別の経路で確かめる |
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| お金や情報を求めている | 住所の再入力、カード番号、暗証番号、コンビニでの支払い | 受け取りや確認に、番号の打ち直しが必要になることは本来少ない |
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| リンク・連絡先 | 会社名に似せた文字列のアドレス、見慣れない末尾 | 押さない。公式アプリやブックマークから入り直す |
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| 名乗りと内容のずれ | 公的機関を名乗って個人の口座を伝えてくる、担当者名が無い | 名乗りが本当かは、その組織の公式の窓口でしか確かめられない |
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| 文面の作り | 損をする結果を先に見せる、心当たりが無い人にも対応を求める | 形として覚えておく。ただし、これが無い偽メッセージもある |
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当てはまる形が見つからなくても、安全だという意味にはなりません。逆に、当てはまったからといって偽物だと決まるわけでもありません。判定はしていません。
4「安全です」と言ってくれる道具は無い、という前提
日本語で使える無料のチェックには、端末の中だけで語を照合する作りのものがあります。入力した文面が外に出ないのは利点です。一方で、あらかじめ用意された語の一覧に載っていない言い回しには当たりません。手口の文面は日々書き換えられるので、そこが弱点になります。
この道具は逆に、文面を外部のAIへ送って読ませます。新しい言い回しにも当たりやすくなる代わりに、文面が手元から出ます。だから画面にも書いてあるとおり、自分の名前・住所・口座番号・暗証番号が入っている部分は消してから貼ってください。どちらの作りにも向き不向きがあり、片方が上位互換ということはありません。
そして、どちらの作りであっても「安全です」とは言えません。言えるのは「よくある形が見つかった/見つからなかった」までです。最後に本物かどうかを決められるのは、公式の窓口に自分で入って確かめた本人だけです。
5もう押してしまった、入力してしまったときに、順番にやること
気づいたときにいちばん損をするのは、恥ずかしさで黙っている時間です。被害の規模は小さくありません。警察庁が2026年5月22日に公表した令和7年(2025年)の確定値では、特殊詐欺の認知件数は27,832件(前年比+32.3%)、被害額は1,423.1億円(同+98.0%)でした。SNS型投資・ロマンス詐欺は15,168件・1,834.3億円です。
また、同じ資料では、警察官などをかたる「ニセ警察詐欺」の認知件数は11,014件・被害額1,005.0億円で、認知件数のうち最も多いのは30代の2,239件、次いで20代の1,718件と報告されています。高齢者(65歳以上)の被害は14,273件で認知件数の51.3%を占めますが、その割合は前年から14.0ポイント下がっています。若い世代の話でもあるということです。
- カード番号を入力した → カードの裏に書かれた番号にかけて、利用を止める。文面の連絡先は使わない
- IDとパスワードを入力した → そのサービスのパスワードを変える。使い回している他のサービスも変える
- 口座の情報を入力した → 通帳やキャッシュカードに書かれた番号から銀行に連絡する
- お金を払った・送った → 消費者ホットライン188と警察相談専用電話#9110に相談する
- 何かをインストールした → それを消す。分からなければ機内モードにして、契約先の窓口で見てもらう
受け取った偽サイトの情報は、フィッシング対策協議会が報告を受け付けています。同じ文面を受け取る次の人のために効いてくる部分です。
よくある質問
- 届いたメールやSMSが詐欺かどうか、無料で確かめられますか?
- この道具は無料で、登録もありません。文面を貼ると、よくある手口に見られる形が文面のどこにあるかと、リンクを押さずに確かめる手順が出ます。ただし、詐欺かどうかの判定はしません。当てはまる形が無かった場合も、安全だという意味にはなりません。
- リンクを押すかどうかを、この道具が決めてくれますか?
- 決めません。本物かどうかは、公式アプリやブックマークなど自分が知っている入口から入って確かめる必要があります。この道具はリンク先に接続していないので、その先に何があるかは分かりません。
- 貼った文面は保存されますか?
- 読み取りのために外部のAIへ送られますが、このサーバーには保存しません。結果は使っているブラウザの中にだけ残ります。名前・住所・口座番号・暗証番号が入っている部分は、消してから貼ってください。
- どの会社の名前がかたられることが多いですか?
- フィッシング対策協議会の2026年8月の報告では、分野別でEC(通販)系が約43.3%、クレジットカード・信販系が約29.0%、航空系が約13.3%でした。ブランド別ではAmazonが約26.1%、Appleが約16.1%、ANAが約12.5%です。身に覚えのある会社の名前で届くほうが多数派です。
- もうリンクを押して、情報を入力してしまいました。
- 入力したものによって最初にやることが変わります。カード番号ならカードの裏の番号にかけて利用を止める、パスワードなら変更する、口座情報なら通帳に書かれた番号から銀行へ連絡する、という順です。お金を払ってしまったあとは、消費者ホットライン188と警察相談専用電話#9110に相談してください。気づくまでの早さで結果が変わることがあります。
↑ この道具を使う
このページは、届いたメッセージを確かめるときの一般的な考えかたを説明するものです。個別の文面が詐欺かどうかは判定していません。件数・割合はフィッシング対策協議会「2026/08 フィッシング報告状況」(2026年9月18日公表)と、警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」(2026年5月22日公表)によります。文面に会社名や官公庁名が出ていても、その組織が送ったという意味ではなく、名前をかたられている可能性があるという意味です。