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敷金の話は、金額ではなく「区分」でもめている。

その退去費用、
何を聞けばいい?

退去の請求書を貼ると、項目ごとに住んだことで減った分自分の使いかたの分に分けて並べ、住んだ年数のぶんの控除も計算します。その場で言う言葉と、管理会社にそのまま送れる照会文まで。金額が妥当かどうかの判定はしません。決めるのは契約書と話し合いです。ここが渡すのは、聞くための材料です。
THE BILL

請求書を貼る

貼った内容はこのブラウザ内だけに保存されます。送信されるのは材料をつくるときだけで、住所・号室・会社名は出力に出しません。

まだ何もありません請求書の中身を貼って「聞くことをつくる」を押してください。
まず動きを見たいときは「見本を読み込む」から。

退去費用が高いと感じたとき、先に見る3つのこと

退去の請求書が届いて、金額に納得がいかない。けれど何が違うのか言葉にできない——という状態がいちばん困ります。国が出している考えかたと民法の条文を先に知っておくと、請求書のどこを見ればいいかが決まります。ここはその整理です。金額が高いか安いかは、ここでも判定しません。

1. 「ふつうに住んで減った分」は、借りた側が戻す対象に入らない

2020年4月1日に施行された改正民法の第621条に、賃借人が戻すのは「損傷」であり、そこから「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗(通常損耗)」と「経年変化」を除く、と書かれています。日焼けした壁紙や、家具を置いていた床のへこみは、ここでいう通常損耗・経年変化として扱われる側です。

もともとは国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)が示していた考えかたで、それが条文として明文化されたという順番です。ガイドライン自体は法律ではなく指針なので、「ガイドライン違反だから無効」という言いかたはできません。けれど条文のほうは民法です。

つまり請求書を見るとき、最初の仕分けは「これは住んだことで減った分か、自分の使いかたで壊した分か」になります。

2. 同じ傷でも、何年住んだかで残っている価値が変わる

ガイドラインは、借りた側が負担する場合でも、その設備の価値が年数とともに減っていくことを前提にしています。壁のクロス、クッションフロア、エアコン、ガスコンロなどは耐用年数6年として扱われ、6年住むと残っている価値はごくわずか(残存価値1円)まで下がる、という考えかたです。

計算は「(耐用年数 − 経過年数)÷ 耐用年数」。6年の設備に3年住んでいれば、残っているのは半分です。張り替えに8万円かかるとしても、その全額がそのまま借りた側に来るという前提にはなりません。

だから請求書で見るのは金額そのものより先に、「何年住んだかが引かれているか」です。引かれていないなら、そこが聞くところになります。

3. 特約があっても、それだけで決まるわけではない

契約書に「ハウスクリーニング代は借主負担」「クロスは全面張り替え」といった特約が書かれていることがあります。特約そのものは結べます。ただしガイドラインは、通常損耗まで借りた側に負わせる特約について、①その必要性と合理性があること ②借りた人が特約の内容を認識していること ③負担することに合意していること、を挙げています。

契約時に説明を受けた覚えがあるか、金額が書いてあったか。ここは自分の記憶と契約書を照らす作業になります。

なお、ここに書いたのはどれも「そういう考えかたがある」という話であって、個別の請求がどうなるかを決めるものではありません。最終的に金額の妥当性を判断するのは、当事者どうしの話し合いか、消費生活センター・法律の専門家・裁判所です。

この道具がやること

請求書を貼ると、項目ごとに上の1と2の仕分けをして並べます。年数を入れれば経過年数ぶんの控除も計算します。そのうえで、管理会社にそのまま送れる照会文を作ります。

出るのは「聞く材料」であって、結論ではありません。金額が妥当かどうかの判定はしません。

よくある質問

退去費用は平均いくらくらいですか?
平均額は物件の広さ・築年数・住んだ年数・傷の内容で大きく変わるので、ここでは平均値を出しません。見るべきなのは総額より内訳です。「住んだことで減った分」が入っていないか、住んだ年数ぶんの控除が引かれているかの2点を先に確認してください。
壁紙(クロス)の張り替えは全額払わないといけませんか?
国土交通省のガイドラインでは、クロスは耐用年数6年として扱われ、年数が経つほど残っている価値は下がるとされています。6年住んでいれば残存価値はごくわずかという考えかたです。また、日焼けなどの経年変化は民法621条で原状回復の対象から除かれています。実際にいくらになるかは個別の事情によります。
ハウスクリーニング代の請求は断れますか?
断れる・断れないを一般論で決めることはできません。契約書に借主負担の特約があるか、あるとして金額が示されていたか、説明を受けたかによります。ガイドラインは、こうした特約には必要性・合理性があり、借りた人が内容を認識して合意していることを求めています。まず契約書の該当箇所を確認するのが先です。
原状回復ガイドラインは法律ですか?
いいえ。国土交通省が出している指針であって、法律ではありません。ただし、そこで示されていた「通常損耗・経年変化は借りた側が戻す対象に入らない」という考えかたは、2020年4月施行の改正民法621条に明文化されています。
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↑ この道具を使う

出典:民法第621条(2020年4月1日施行)/国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」。このページは制度の一般的な考えかたを説明するもので、個別の請求についての法的助言ではありません。