読みもの
「ちょっとやってほしい」に、その場で答えない理由
先に結論
- 1つの数字ではなく、範囲(幅)で答える。情報が少ない段階ほど、幅は広くなって当然。
- 見積もりには、必ず前提条件が付く。前提が崩れれば、見積もりも崩れる。ここを黙っておくと、あとで「言った通りにならなかった」と揉める。
- ざっくりのたたき台は、正式な見積もりではない。社内合意の材料であって、対外的な約束の文書ではない。
社内から「これくらいすぐできる?」と聞かれたとき、その場で数字を出すと、あとで根拠を聞かれても説明できません。逆に「わかりません」だけで終えると、次から相談されなくなります。あいだにあるのが、工程に分けて、ざっくりの範囲で答え、前提とリスクを添えるという手順です。1つの数字ではなく、幅と前提を出すことが、見積もりを「約束」にしないための唯一の方法です。
1見積もりが「約束」になってしまう理由
「1週間でできます」と口頭で答えると、その場では規模感の共有だったつもりでも、聞いた側には約束として残ります。あとで前提が変わっても、最初の数字だけが記憶されます。
幅と前提をセットで出すことで、「その前提が崩れたら、幅の上のほうに動く」という会話ができるようになります。数字ではなく、数字の周りにある条件のやり取りが本題です。
2工程に分けると、どこが膨らんでいるかが見える
「全部でざっくり◯人日」だけだと、あとから増えた作業がどこに埋もれたのか分からなくなります。工程ごとに分けておけば、増えたのはどの工程かがすぐ指せます。
| 工程 | 含まれるもの | 増えやすい理由 |
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| 保存先の用意 | データの持ちかたと登録・削除の処理 | あとから項目が増えると、ここに追加の作業が乗る |
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| 画面 | 入力・表示・操作の見た目 | デザインが後から変わると、ほぼやり直しになる |
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| 確認・調整 | 実際に操作して崩れを直す | ここを最初から入れておかないと、後工程が丸ごと抜ける |
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3このたたき台が向いていないもの
これは着手前に規模感をつかむための下書きで、契約金額の根拠にする正式な見積もりではありません。金額を出す見積書・請求書には、既存の「見積書・請求書をワンセットで発行」のような別の道具を使ってください。
納品後に「検収が揉める」という別の問題には、既存の「追加依頼の切り分け」「納品前の検査」が向いています。
よくある質問
- この人日は、どのくらい正確ですか?
- 正確な数字ではなく、着手前の規模感をつかむための幅です。要件が固まるほど幅は狭くなり、逆に情報が少ない段階では幅は広くなります。契約金額の根拠には使わないでください。
- 前提条件は何のために出るのですか?
- この見積もりが成り立つために仮に置いた条件です。前提が崩れると、見積もりもその分ずれます。着手前に、この前提が本当に正しいかを確認するために使います。
- 金額は分かりますか?
- 金額は出しません。人日(作業量の目安)だけを出します。
↑ この道具を使う
工数は、1つの数字ではなく、範囲と前提のセットで持ち歩くものです。